要点: 許認可申請、入札、または基本的なレイアウト調整のために素早く図面化したい場合は、Scan to CADで十分なことが多いです。複数分野での調整、改修設計、またはライフサイクルでの活用に向けて構造化されたモデルが必要なら、Scan to BIMのほうが投資効果が高い選択です。
迷ったら?下のチェックリストを使ってください。手戻りの多くは、「図面だけで十分なのに“BIM”を発注する」または「本当は統合された情報モデルが必要なのに“CAD”を発注する」ことで起こります。
レーザースキャンと点群により、竣工図(As-built)作成は従来の現場実測よりも速く、信頼性も高くなりました。しかし、点群を入手した後に出てくる次の疑問はたいてい同じです。
Scan to CAD と Scan to BIM、どちらが必要か?
多くのプロジェクトでは、この段階で時間と予算を無駄にしてしまいます。原因はスキャンが難しいからではなく、成果物の指定が間違っていることが多いからです。2D図面が数枚あれば十分なのにBIMを求めるチームもあれば、CAD図面を依頼したものの、後になってMEP干渉チェック、改修設計、資産情報のために統合モデルが必要だと気づくケースもあります。
本ガイドでは、アウトプットの違い、代表的な用途、コストの決まり方、そして社内共有できる実用的な判断チェックリストを通じて、適切な成果物を選べるように整理します。

目次
TL;DR: すぐ決めるための判断ガイド
- Scan to CAD:主に必要なのが2D図面(平面図/断面図/立面図)で、迅速なドキュメント化や作図用の形状情報が目的ならこちら。
- Scan to BIM:調整、改修設計、数量拾い、下流のBIMワークフローのために構造化されたモデルが必要ならこちら。
- ハイブリッド:まず図面を早く揃えつつ、同じ点群を単一の真実のソースとして後からBIMへ拡張できるようにしたい場合。
実際に手に入るもの:アウトプットと成果物
Scan to CAD の成果物
Scan to CAD とは通常、点群を2D CAD図面および/または簡易な3D CAD表現へ変換することを指します。成果物には一般的に次が含まれます。
- 2D DWG/DXF:平面図、屋根伏図、立面図、断面図
- 主要寸法、通り芯(グリッド)、基準レベル(仕様に応じて)
- 任意:状況把握用の簡易3D CAD(サーフェス/ソリッド)
- 参照用の点群データ(E57/RCP/RCS/LAS)
Scan to CAD が得意なこと: 主に2Dで作業するチーム(建築設計、測量、許認可申請、施工者など)に向けた、明瞭でスピーディなドキュメント化。フルBIMの負担なく、信頼できる図面を得られます。
Scan to BIM の成果物
Scan to BIM は図面の先にあります。点群を、調整や情報管理に使える構造化されたBIMモデルへ変換します。成果物には次が含まれる場合があります。
- BIMモデルファイル:Revit / Archicad / Allplan / その他(要望に応じて)
- openBIM向けのIFC書き出し(任意だが推奨)
- 定義されたLOD/LOI(詳細度/情報レベル)
- モデル構造:カテゴリ、命名ルール、分類、パラメータ(仕様に応じて)
- QA/QCレポートまたは許容差(トレランス)声明(任意)
- 参照用の点群データ(E57/RCP/RCS/LAS)
Scan to BIM が得意なこと: 改修設計、複数分野(特にMEP)の調整、干渉回避、(スコープに含まれる場合)正確な数量、そして情報が重要になるライフサイクルでの活用。
クイック比較:Scan-to-CAD vs Scan-to-BIM
| 評価軸 | Scan-to-CAD | Scan-to-BIM |
|---|---|---|
| アウトプット | 2D/3D CAD(DWG/DXF)、竣工図(As-built) | BIMモデル(Revit/IFC/Allplan/Archicad…)、構造化データ |
| 主目的 | 迅速な竣工図作成、許認可/入札、寸法確認 | 調整、複雑な改修/設計、ライフサイクル活用 |
| 情報レベル | 主に形状(ジオメトリ) | 形状+情報(LOD/LOI)、分類、パラメータ |
| 時間/コスト | 一般に低め | モデリング+情報構造化のため一般に高め |
| 向いている場面 | 「とにかく図面を早く」 | 「情報モデルが必要」 |
Scan to CAD:最適なケース
Scan-to-CAD は、プロジェクトが速く信頼できる竣工図(As-built)を必要とし、チームが主に2Dで作業する場合に適したアウトプットです。
Scan to CAD の代表的なシナリオ
- 許認可申請・入札パッケージ:きれいな平面図/断面図がすぐ必要
- 既存建物のドキュメント整備:既存図がない/信頼できない
- 施工検証:チェック用に寸法が取れる図面が必要
- 基本レイアウト調整:簡易な内装計画やスペース検討
- 予算/工期の制約:フルモデリングより図面のほうが早く価値を出せる
なぜ Scan to CAD のほうが効率的な場合があるのか
フルBIMモデルには、解釈、オブジェクト作成、ルールに基づく構造化など、より多くの工数が必要です。最終成果物が2D図面であるなら、Scan-to-CADは使わない情報に対して支払うことを避けられます。
Scan to CAD を選ぶときの典型的な落とし穴(回避方法):
- 図面範囲が曖昧 → 必要な平面図/断面図/立面図を具体的に指定する。
- 許容差が未定義 → 用途に合わせて測定許容差(例:±10mm、±20mm)を定義する。
- 図面へ情報を詰め込みすぎる → 「建築図としてクリーン」か「製作レベルの詳細」かを先に決める。
Scan to BIM:投資に値するケース
Scan to BIM は、形状以上のものが必要なとき、つまり意思決定、調整、下流ワークフローを支えるモデルが必要なときに、より良い投資になります。
Scan to BIM の代表的なシナリオ
- 改修・リトロフィット:設計のため既存状態を正確にモデリングする必要がある
- MEP調整:干渉を避け、複雑な設備系統を調整したい
- 多関係者プロジェクト:設計者・エンジニア・施工者が共有モデルを必要とする
- 段階設計:モデルが発展し、各フェーズで使い続ける
- 資産/施設運用:情報構造(空間、系統、IDなど)が重要
Scan to BIM のコストを左右する要因(そしてそれが自然な理由)
Scan to BIM は「3Dで図を描く」ことではありません。実務で使えるBIMモデルには、次が必要です。
- 明確なモデリング範囲(含む/含まない)
- LOD/LOI の目標(詳細+情報レベル)
- 命名、カテゴリ、分類、パラメータのルール
- 形状精度と整合性のためのQA/QC
これらが欠けると、見た目は良いがチームが信頼して使えない「きれいな3Dモデル」になりがちです。その結果、「BIMに払ったのに結局やり直しになった」と感じるプロジェクトも生まれます。

判断チェックリスト:この8つを確認
- 主目的は? 許認可/入札用図面 → CAD。調整/設計判断 → BIM。
- 誰が使う? 主に2D利用者 → CAD。複数分野のBIM利用者 → BIM。
- 構造化された情報が必要? カテゴリ、パラメータ、資産IDが必要なら → BIM。
- MEPやシステムの複雑さは? 複雑なら → BIMのほうが安全。
- 必要な詳細度は? 基本レイアウト → CAD。ルールに基づく要素レベルのモデリング → BIM。
- 必須フォーマットは? DWGのみ → CAD。IFC/Revit/Allplanモデル → BIM。
- 必要な精度(許容差)は? 厳しい許容差+調整が必要 → BIM(強いQA/QC前提)。
- 将来の拡張性は? 必要ならハイブリッドを検討:まずCAD+後からBIMへアップグレード。
経験則: 判断が要素間の関係性(クリアランス、干渉、配管ルート、分野間調整)に依存するなら、BIMが必要な可能性が高いです。判断がドキュメント(平面図/断面図)と迅速な参照に依存するなら、CADで十分なことが多いです。
ハイブリッド:まずCAD、後でBIMへ
多くのチームは初日からフルBIMを必要としませんが、それでも信頼できる基盤は確保したいものです。
実務的な戦略は次のとおりです。
- 許認可/入札に向けて早期にScan-to-CAD図面を納品し、
- 点群を単一の真実のソースとして保持し、後から再スキャンなしでBIMへ拡張できるようにする。

この方法なら初期コストを抑えつつ、スコープ拡大(予想以上に起こります)による手戻りリスクを減らせます。
要件の指定方法(=二重に払わないために)
CADでもBIMでも、仕様(ブリーフ)には以下の要点を含めるべきです。良いブリーフは「価格交渉」よりもコスト削減につながることが多いです。
1) 成果物を明確に定義する
- CADの場合:必要な図面(平面/断面/立面)、尺度、レイヤ、注記要件
- BIMの場合:ソフト/プラットフォーム、IFC要件、対象分野、LOD/LOI目標
2) 精度(許容差)と座標系を明記する
- 用途に基づく必要許容差(例:±10mm/±20mm)
- プロジェクト座標系、基準点、標高基準(データム)
3) モデリング範囲を定義する(特にBIM)
- 含む/含まない範囲(躯体、建築、MEP、機器、天井など)
- 欠測や死角(オクルージョン)でスキャンデータが不足する箇所の扱い
4) QA/QCレポートを要求する
簡単なQA/QCサマリー(許容差、実施したチェック、既知の制約)でもリスクを下げ、下流チームが成果物を信頼して使う助けになります。
FAQ
Scan-to-CAD とは?
Scan-to-CAD は、点群を2D/3D CAD成果物へ変換するプロセスで、最も一般的なのは平面図・断面図・立面図などのDWG図面です。
Scan-to-BIM とは?
Scan-to-BIM は、点群データを、定義された要素・関係性、そして(必要に応じて)情報属性を持つ構造化BIMモデルへ変換するプロセスです。
Scan-to-BIM は常に Scan-to-CAD より良い?
いいえ。BIMはデフォルトで「優れている」わけではありません。調整、構造化情報、モデルベースのワークフローが必要なときに価値が高まります。図面だけが必要なら、CADのほうが賢い選択になることが多いです。
まず Scan-to-CAD から始めて、後でBIMへ移行できる?
はい。多くのチームはハイブリッド戦略を採用しています。早期にCAD図面を納品し、点群を参照として保持し、調整やライフサイクル要件が拡大したらBIMへアップグレードします。
どのファイル形式を要求すべき?
CADはDWG/DXFが一般的です。BIMは必要に応じてネイティブ形式を要求し、相互運用性のためにIFCの追加も検討してください。チームで使用する点群形式(E57/RCP/RCS/LAS)も必ず含めます。
アウトプット発注で最も多いミスは?
最大のミスは、LOD/LOIとスコープを定義せずに「BIM」を発注すること、または分野間の調整が必要なのに「CAD」を発注することです。どちらも手戻りにつながりがちです。
迷ったら:VMT Solutionsに相談
プロジェクトの目的、関係者、必須フォーマットを共有いただければ、最も費用対効果の高いアウトプット(Scan-to-CAD、Scan-to-BIM、またはハイブリッド)を提案し、現実的な許容差とともに明確な成果物リストを整理します。
Contact VMT Solutions から、スキャンデータ、納期、必要な成果物要件についてご相談ください。
著者について:
Nguyen Huynh (Rainer)

VMT Solutions、SSIFTベトナム、BlackSwissベトナム、およびVictoria Measuring Solutions PTY LTD(オーストラリア)の共同創設者兼最高経営責任者として、私は2007年にドイツで技術職業教育訓練(TVET)の修士課程を修了しました。
10年以上にわたるポイントクラウド処理およびBIMサービスの経験を通じて、私は複雑な課題に取り組み、ポイントクラウドからBIMへの変換における精度と詳細度を高めるための革新的なワークフローを開発することに情熱を注いでいます。
VMT Solutionsでは、高品質で卓越した価値を提供するサービスをお約束しています。特に測量会社向けのソリューションに力を入れています。私たちは、双方に利益をもたらすパートナーシップを構築し、クライアントの特定のニーズに合わせたカスタマイズされたソリューションを提供することに重点を置いています。
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